心臓カテーテル事故判決例一覧表 | |
番号 | 〔1〕 |
判決 | 東京地方裁判所平成2年3月16日判決 |
掲載誌 | 判例時報1370号74頁 |
事故発生日 | 昭和57年8月11日 |
病院名 | 東京女子医大 |
患者の年齢・性別 | 2歳6月・男 |
主文 | 棄却 |
事故態様 | ファロー四微症の患者(幼児)に対し、将来の心内修復の必須の前提とし |
て、右心系のほか、系統動脈系の血圧、酸素量や大動脈、冠動脈の形態、 | |
血行動態を知ることを目的として心臓カテーテル検査を行ったもので、右股 | |
静脈から右心系カテーテルにより上大動脈での圧力測定と血液採取、右心 | |
房と右心室の圧力測定と血液採取、その後右心室のカテーテルをそのまま | |
心室中幅欠損部経由で大動脈内に挿入することを試みたが、房室乖離が | |
出現したため断念し、一度カテーテルを抜き取った後、右股動脈から左心系 | |
により上行大動脈で圧力測定と血液採取をした後、左心室に入れようと試 | |
みたが断念し、大動脈造影をした後、カテーテルを抜き取った。その後、 | |
再度右心系カテーテルにより右心室に入れ、カテーテルの先端を流出路付 | |
近に向けて造影剤を注入した後、透視下で観察したところ、右心室流出路 | |
付近に造影剤が残留しているのが認められたので、またカテーテル内の | |
造影剤若干量を押し出してみたところ心嚢内への造影剤は認められず、心 | |
嚢内への造影剤流出は認められず、心筋内への流出が認められるにとど | |
まり、穿孔の認められないことが確認されたため、カテーテルを抜去した。 | |
検査後、患者はチアノーゼが通常よりやや強くなり、血圧が低かったところ、 | |
心電図に心筋の一部に酸素供給異常があることが疑われる波形が現れた | |
ので、2回にわたる開胸術の後、諸処置をしたが、心不全で死亡した。 | |
過失の態様(否定) | @原告はカテーテルの先端が患者の右心室流出付近を穿孔したことにより |
心タンポナーゼが生じたと主張するが、本件検査により穿孔、心タンポナー | |
ゼが生じたと認定することは十分でなく、これらの事実を前提とした原告の | |
主張は失当である。なお、医師のカテーテル操作に不相当の点は認められ | |
ない。 | |
A原告は検査後の患者には異常が生じていることが明白なのに、医師に | |
は救急措置を怠った過失があると主張するが、患者の容態が原告主張の | |
程度に悪かったと認める証拠はなく、また医師には検査後の各時点におけ | |
る患者の症状に応じた対応を怠った過失はない。 | |
上訴の有無 | 控訴 |
番号 | 〔2〕 |
判決 | 東京地方裁判所平成5年4月27日判決 |
掲載誌 | 判例時報1485号52頁 |
事故発生日 | 昭和61年9月18日 |
病院名 | 某大学付属病院胸部外科 |
患者の年齢・性別 | 62歳・男 |
主文 | 認容(4,527万8,752円) |
事故態様 | 患者には冠状動脈狭窄が疑われる所見があったことから、冠状動脈造影 |
検査を行って冠状動脈の狭窄の有無、程度を明らかにして、その結果を今 | |
後の治療の指針にするため、心臓カテーテル検査を受けることになり、 | |
右心カテーテルより右肺動脈楔入圧と右肺動脈圧を測定し、その後、左心 | |
カテーテルにより上行大動脈圧と左心室圧を測定、左冠状動脈造影をし | |
た後5.1秒の心停止が起こり、脈は戻ったが、その後の左心室造影後には、 | |
最高血圧が250になり、左心室圧測定、右冠状動脈造影の終了後約1.8 | |
秒の心停止が発生し、その後日意識障害などの脳梗塞疑わせる症状を呈し、 | |
同年10月8日に心不全で死亡した。 | |
過失の態様(肯定) | @心臓カテーテル検査をする医師は、検査中に患者に何らかの脳血管 |
障害発生の兆候が生じた場合には、たとえ障害が何であるかを具体的に | |
特定することが出来なくとも、検査を中止すべき注意義務を負うところ、 | |
本件では患者の最高血圧が250を超えて上昇したにもかかわらず、本件 | |
検査を中止せず、右冠状動脈造影検査を行なったことに過失が認められる。 | |
A検査終了後は直ちに専門の神経内科医に相談するなどして合併症の | |
治療を開始すべき注意義務があるところ、検査終了後3時間半を経過した | |
時点まで脳血管障害の可能性に気づかず、その治療を行わなかった点に | |
つき適切な治療の開始が遅れた過失が認められる。 | |
上訴の有無 | 控訴 |
番号 | 〔3〕 |
判決 | 静岡地方裁判所平成7年2月16日判決 |
掲載誌 | 判例時報1558号92頁 |
事故発生日 | 昭和62年10月22日 |
病院名 | 静岡市立静岡病院 |
患者の年齢・性別 | 60歳・男 |
主文 | 棄却 |
事故態様 | 患者には拡張型心筋症が疑われ、心電図において致死性の不整脈があっ |
たことから右冠状動脈の造影と左心室の心筋生検を目的として心臓カテー | |
テル検査を行うことになり、右大腿部動脈からカテーテルを挿入し、左冠動 | |
脈、右冠動脈の各造影を進めたが、右冠動脈の起始部に奇形が見られた | |
ため、同所にカテーテルを挿入することができず、やむなく大静脈造影を | |
もって右冠状動脈造影検査に代えた。このため、検査メニューが進むのに | |
通常より長時間を要した。その後、再度の左心室造影と左心室の生検が | |
行われた。このカテーテル検査に際し、患者に脳梗塞に由来すると考えら | |
れる意識障害、左半身硬直、嘔吐症状が現れ、左片麻痺による左半身の | |
感覚脱失と顕著な高次脳機能障害を伴う後遺症(2級)を負った。なお、 | |
検査の結果、患者の心臓疾患は拡張型心筋症であり、虚血性心疾患の | |
疑いは除去された。 | |
過失の態様(否定) | 原告は本件検査の必要性も緊急性もないにもかかわらず、脳塞栓症の発症 |
の高い患者に対して、発症を誘発する可能性のある心臓カテーテル検査を | |
漫然実施し、さらに右冠状動脈の起始部が奇形で、その造影のための試技に | |
長時間を要し、患者に著しい身体的負担が生ずるにもかかわらず、これを | |
中止することなく漫然強行継続した過失により患者に脳塞栓症を発症せし | |
めた過失があると主張するが、本件脳塞栓症の発症は検査途中ではなく、 | |
ストレッチャーに移して止血中に発生したものと認められるから、本件心臓 | |
カテーテル検査と脳塞栓症との間に因果関係は認められないから過失を | |
問題とする部分に理由はない。 | |
上訴の有無 | 控訴 |
番号 | 〔4〕 |
判決 | 富山地方裁判所l高岡支部平成12年2月29日判決 |
掲載誌 | 判例タイムズ1081号236頁 |
事故発生日 | 平成7年11月20日 |
病院名 | 高岡市民病院 |
患者の年齢・性別 | 77歳・女 |
主文 | 棄却 |
事故態様 | 患者は心室性頻拍症、洞性不整脈、心原性ショックのため被告病院に入院 |
し、心筋脂肪酸スペクト検査を実施したところ、左室側壁から心尖部にか | |
けて虚血性心疾患あるいは古い心筋梗塞、線維化が疑われたが、両者の | |
治療方法が異なるため、心臓カテーテル検査を実施することになった。検査 | |
は、まず右大腿静脈からスワン・ガンツ・バルーンカテーテルを用いて、右房、 | |
右室、肺動脈、肺静脈楔入圧の測定、心拍出量の測定を行った。次いで、 | |
右肘動脈から、5Fのシュナイダー製ソフトチップカテーテル・ジャドキンス型 | |
を用いて右冠動脈造影を実施したうえ、左冠動脈造影を行ったところ、左 | |
回旋板は良く造影されたが、左前下行枝は造影剤が十分流れず、造影 | |
所見をはっきり読み取ることができなかったため、いったんカテーテルを抜き、 | |
再度挿入しようと試みたが、スムーズに入らなかった。そこで、他の医師が | |
交代してカテーテルを左冠動脈内に挿入してテストショットを行ったところ、 | |
回旋板の内膜剥離から動脈解離を起こしたものと判断し、直ちに検査を中止 | |
した。その後、カテーテルによる治療ないし外科手術が必要とされる可能性 | |
があることから、心臓外科のある富山赤十字病院に救急車で搬出されたが、 | |
同病院において急性心筋梗塞で死亡した。 | |
過失の態様(否定) | 原告はカテーテルの選択あるいは操作について過失があったと主張するが、 |
選択については、冠状動脈の入口は直径3mm以上あるところ、カテーテ | |
ルは1.7mmであり、ソフトチップカテーテルである以上、不適切であったと | |
は認められない。A医師の操作に特段不適切な点は認められないこと、A | |
医師の操作がスムーズにいかなかったため、直ちにB医師に交代したこと、 | |
B医師の操作ではスムーズに入ったものの、造影剤たまりを認め、消失して | |
いなかったため検査を中止している点で慎重さが窮えること、加えて両医師 | |
とも循環器専門医の資格を有し、心臓カテーテル検査に関与した経験が10 | |
00例を超え、主たる術者と勤めたものも400例を超えており、同検査につい | |
て十分な経験があったことを考慮すれば、同操作についても不適切であった | |
とは認められない。 | |
上訴の有無 | 確定 |
番号 | 〔5〕 |
判決 | 名古屋地方裁判所平成12年5月26日判決 |
掲載誌 | 判例時報1737号110頁 |
事故発生日 | 平成元年8月30日 |
病院名 | 国立療養所豊橋東病院 |
患者の年齢・性別 | 60歳・女 |
主文 | 認容(1,143万6,693円) |
事故態様 | 患者は近所のかかりつけの医師から心筋梗塞の疑いを指摘され被告病院 |
を紹介され診察を受けたところ、心電図に異常所見が認められ、被告病院 | |
で処方された薬を服用したところ、身体に変調をきたしたので、緊急入院の | |
上、心臓カテーテル検査を受けることになった。 | |
本件カテーテル検査は、まず右大腿静脈と右大腿動脈からカテーテルを | |
入れて右心、左心の順で心室の圧力、心拍出動、肺動脈の圧等を測った | |
後、左右の冠動脈造影などを行ったが、その間にさらに先の大腿動脈の | |
シース挿入部の下約5ミリの位置にシースを挿入した。検査終了後、3本の | |
シースを抜去し、直ちに再圧迫により止血を試みたが、大量の出血を来し、 | |
ソフトボール大の血腫が形成され、血圧が急激に低下したため、他の医師が | |
代わって再圧迫を試みた結果、約40分後に止血に成功したので、その後、 | |
穿刺部に枕子を当て圧迫帯を巻いて固定し、約8〜9時間ベッドの上に安静 | |
にさせられたところ、右大腿部神経の部分壊死が発生して大腿神経損傷の | |
後遺障害(12級相当)が残った。 | |
過失の態様(肯定) | 心臓カテーテル検査を担当した医師においては、検査終了後の止血措置を |
誤って大出血をさせてはならない業務上の注意義務があるのに、これに | |
違反して大量出血や大きな血腫が形成される事態を招来させ、その結果、 | |
患者の右大腿神経麻痺を生じさせたのは、医師の医療過誤行為である。 | |
上訴の有無 | 確定 |
番号 | 〔6〕 |
判決 | 松江地方裁判所平成14年9月4日判決 |
掲載誌 | 判例時報1815号116頁 |
事故発生日 | 平成9年4月23日 |
病院名 | 松江赤十字病院 |
患者の年齢・性別 | 62歳・女 |
主文 | 認容(3,799万4,155円) |
事故態様 | 患者の右冠動脈が完全閉塞で、左冠動脈には前下行枝、回旋板のいずれ |
の枝にも動脈硬化症の強い高度の狭窄があったことから、心臓カテーテル | |
による経皮的冠動脈形成術(PTCA)が実施されたが、右冠動脈閉塞部の | |
通過不能のため治療困難との判断が下され、術式は中止された。止血室で | |
止血を受けていたところ、患者は右腰背部の激しい痛みを訴っえたため、 | |
CT検査を行ったところ、右腎周囲腔に濃度の高い液を認め、腹部エコー検査 | |
により腎臓の周囲に少量の滲出液が認められたが、医師は尿の排水障害 | |
により腎臓から漏れた尿であると診断し、その改善措置をとるとともに経過 | |
観察を続けたが、翌日、突然容態が変化し死亡した。病理解剖の結果、右 | |
腎周囲腔に見られた液は血液であった。 | |
過失の態様 | @右腎周囲の出血原因はガイドワイヤーによる腎実質内の血管損傷による |
(一部肯定) | ものと推測されるが、施術時に注意を払ってもなおガイドワイヤーを細い血 |
管に迷入させて血管を破綻させることはままあることであるから、この点に | |
医師に過失があったとまで判断しがたい。 | |
A医師が出血の可能性を一切否定し血液検査等の検査を怠って腎周囲の | |
出血の事実を見落としたのは過失である。 | |
上訴の有無 | 確定 |
番号 | 〔7〕 |
判決 | 青森地方裁判所平成14年7月17日判決 |
掲載誌 | 判例体系CD-ROM、判例ID28072327 |
事故発生日 | 平成9年1月31日 |
病院名 | A病院 |
患者の年齢・性別 | 52歳・女 |
主文 | 認容(4,390万0,364円) |
事故態様 | 患者は左冠動脈前下行枝の一枝が狭窄した不安定狭心症であったので、 |
経皮的冠動脈形成術(PTCA)が施行されたが、医師がバルーンカテーテル | |
のカバーを取り忘れたまま、カテーテルを冠動脈内に挿入したため、患部 | |
付近でバルーンを膨らませようとしたが膨らまず、このためPTCAによる治療 | |
が断念されることになったうえ、カテーテルが引き抜かれる際に、バルーン | |
カバーが心臓血管内に残置された。その後、被告病院は冠動脈バイパス | |
手術(CABG)を施行し成功したが、患者は陳旧性心筋梗塞による身体障害 | |
者等級3級と認定された。 | |
過失の態様(肯定) | PTCAの際に、バルーンカバーを取り忘れ、その確認を怠ったままカテーテル |
を冠動脈内に挿入し、バルーンカバーを患者の体内に残置する過失があっ | |
たことは被告も争わないところ、患者の後遺障害は、被告病院医師に基づく | |
一連の経過の中で血流が途絶ないし著しく減少した虚血状態になった、また | |
は、PTCAと比較してより身体的侵襲の大きいCABGを施行することを余儀な | |
くされたこと、もしくはこれらが競合した結果もたらされたものである。 | |
上訴の有無 | 不明 |
番号 | 〔8〕 |
判決 | 東京地方裁判所平成14年11月21日判決(民事30部) |
掲載誌 | 判例体系CD-ROM、判例ID28080453 |
事故発生日 | 平成7年8月1日 |
病院名 | I病院 |
患者の年齢・性別 | 20歳・男 |
主文 | 認容(1億5,283万7,699円) |
事故態様 | 患者は、心エコー検査を受けたところ大動脈弁閉鎖不全症と診断され、被告 |
病院に入院して心臓カテーテル検査を受けたところ、大動脈弁閉鎖不全症 | |
については6ヶ月ごとの心エコー検査により経過観察する方針とされ退院し | |
た。しかし、心臓カテーテル検査の翌年10月に感染性心内膜炎に感染し、 | |
その判断・治療されなかったことによって形成された脳動脈瘤が破裂し、右 | |
片麻痺や言語障害等の重度の後遺症(2級)が残った。 | |
過失の態様 | @本件心臓カテーテル検査によって、患者が感染性心内膜炎の起炎菌に |
(一部肯定) | 感染した、あるいは同検査による内膜等の物理的障害が契機となって、感染 |
性心内膜炎を発症したと認めることはできない。 | |
A被告医師は、平成8年6月5日の診察の頃には患者の感染性心内膜炎 | |
の発症を疑うべきであっただけでなく、同年10月16日の診察の時点では | |
一層強く感染性心内膜炎を疑い、直ちに心エコー検査や血液培養検査等 | |
を行う義務があったが、患者の感染性心内膜炎の検査・診査・診断を怠った | |
過失がある。 | |
上訴の有無 | 不明 |
番号 | 〔9〕 |
判決 | 大阪地方裁判所平成14年11月29日判決 |
掲載誌 | 判例時報1821号41頁 |
事故発生日 | 平成11年2月15日 |
病院名 | 松原徳州会病院 |
患者の年齢・性別 | 67歳・男 |
主文 | 認容(35万円) |
事故態様 | 患者は閉鎖性動脈硬化症その他の病気(糖尿病性の慢性腎不全、糖尿 |
病、高血圧腰部脊椎官狭窄症等)があると診断され、虚血性心疾患の | |
有無を確認するため、心臓カテーテル検査を受けた後、右膝窩動脈に | |
血栓症が発症し、右足趾全部の切断に至った。 | |
過失の態様 | @本件検査と患者の右足に生じた虚血や足趾切断との間に因果関係は |
(一部肯定) | 認められない。 |
A被告病院の医師は、本件検査の方法、本件検査により死、心筋梗塞、 | |
脳血管障害、抹消血管事故(血栓、塞栓、出血等)の危険性があることや、 | |
その発生確率等について詳しい説明をしておらず、今少し詳しく説明して | |
いれば患者が本件検査を受けなかった可能性があるというべきである。 | |
上訴の有無 | 確定 |
番号 | 〔10〕 |
判決 | 東京地方裁判所平成15年6月27日判決(民事34部) |
掲載誌 | 判例体系CD-ROM、判例ID28082437 |
事故発生日 | 平成11年7月27日 |
病院名 | 某病院 |
患者の年齢・性別 | 56歳・男 |
主文 | 棄却 |
事故態様 | 患者は、呼吸困難等を主訴として被告病院救急外来を受診し、急性心筋 |
梗塞による心不全の疑いがあるなどと診断され、緊急入院となった。その | |
後、患者には著しい心機能の低下等が認められていたことから今後の治療 | |
方針策定のため右心カテーテル及びCAG(冠動脈造影)を行うこととし、これ | |
らの検査を実施した。本件検査の結果、患者には右冠動脈90%狭窄、左 | |
前下行枝100%閉塞、左回旋枝99%狭窄が認められたが、検査後患者は | |
ショック状態になり、PTCAを実施するなど救命措置及び蘇生措置を採ったが、 | |
死亡した。 | |
過失の態様(否定) | 原告は、被告には本件検査の際、冠動脈の内膜を損傷し、右冠動脈の血管 |
を閉塞し、その結果、右冠動脈から出ていた側副血行路にも血液が流れなく | |
なり、急性心筋梗塞を引き起こした過失があると主張するが、本件全証拠に | |
よるも、患者の冠動脈の内膜がカテーテルによって損傷されたことを推認さ | |
せる事実は認められず、かえって血栓による血流閉塞や冠動脈解離は生じ | |
ていないことが認められる。 | |
上訴の有無 | 不明 |